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走破記
走破記
一曲が一章。道と景色、その途中で起きた出来事を綴る走破記。
01 · Project Start
プロジェクトは、鍵を回した瞬間から始まる。
02 · ROUTE 1 -TOKYO-
午前零時を少し過ぎたころ、エンジンに火を入れるとガレージの空気が薄く震えた。今夜どこへ向かうかは、まだ決めていない。国道246か、首都高か、国道1号か。決めないまま走り出せば、道のほうが先に私を選んでくれる気がする。
03 · WANGAN -ZQQ LIMITER-
排気量999。小柄な私がこのバイクを選んだ理由はひとつ——軽くて、速い。何かに引き寄せられるみたいに、スカートのまま脚をまたいで、夜の街へ滑り出す。
04 · Sea Firefly
今夜はバイクの鼻先を湾へ向ける。岸の灯りが暗い海の上に、長い光の線を何本も引いていく。料金所でバーが下りて、ポケットを探る——今夜はカードがない。深夜割は指のあいだからこぼれ落ち、私はふくれっ面で正規料金、現金四千円を払って、夜へひとつ息を…
05 · ROUTE 1 - SEISHO BY-PASS
夜のふちがほどけて、空の裏側がうっすら青くなる。国道1号、西湘バイパス——海の呼吸そのものでできた直線だ。私は息をスロットルに、背すじをステアリングに合わせる。鼓動はメトロノーム、針はこちらの味方。窓の隙間から潮の匂いが滑り込み、ミラーの中…
06 · ROUTE 1 - HAKONE (steam mix)
休みの日の早朝、国道1号の上りのふもとで。西湘の潮の匂いが薄れ、海の水平線がルームミラーの奥へ沈んでいく。小田原の街並みが入れ替わるように後ろへ流れると、空気がひとつぶん澄んで、赤いオープンカーは——息を速めながら——山の鼓動に同調する。
07 · ROUTE 1 - ONSEN BREAK
夜明けの芦ノ湖。路肩に薄くかかる霧が、まるで湯けむりの真似をしているみたいだった。赤いオープンと、黄色いクーペに乗った彼女が並んで走る。メーターはもう落ち着いているのに、頭の中のスピードだけは、まだ高回転のまま。私はまっすぐ前を見て、心の中…
08 · ROUTE 1 - ASHINOKO
青の周回、白を連れて——。